医院のご紹介

口腔内スキャナーの「トリオス」を導入しました！従来の歯型採りは印象材（いんしょうざい）と呼ばれる柔らかい材料をトレーに盛り付け、お口の中いっぱいに押し込み、固まるのを待ちます。苦しい経験をされた方は多いのではないでしょうか？

トリオスに代表される「口腔内スキャナー」は、小型のカメラでお口の中をスキャンすることで歯型採りが完了する画期的な機材です。これを「光学印象（こうがくいんしょう）」といいます。撮影したデータをパソコン上で分析し、被せ物をデザイン・作製することができます。つまり・・・

①　スキャンするだけなので短時間で簡単に型採りができる

②　型採り（スキャン）が成功しているかどうか、パソコン上でその場で確認ができ、修正も部分的な再スキャンをすれば良いので患者さまの負担が少ない（従来の型採りが失敗した場合は、再度ご来院いただき苦しい歯型採りをやり直さなければならないことが多い）

③　撮影後されたデータをその場で技工所へ送信することで、被せ物を作製する技術者である技工士との情報共有が速やかに行える（従来の型採りの場合では、型採りの後に院内で石膏模型を作製し、それを技工士に送り届ける必要がある）

④　撮影されたデータの精度（特に噛み合わせの位置確認）が非常に高いので、質の高い被せ物を作製することができる

⑤　撮影されたデータはパソコン上でさまざまな角度から観察できるので、患者さまご本人もご自身の歯の状態を理解することができる（１枚目の写真のようにパソコン上でスキャンした歯を観察できる）

⑥　従来の歯型採りや模型制作に使用される材料の使用量を軽減できる（医療廃棄物を削減でき、環境に優しい）

などの様々な利点があります！

欠点としては・・・

①　精度の限界から、あまりにも大きな範囲の被せ物や入れ歯はスキャンのみでは作製が困難な場合が多く、従来の型採りをしないといけない

②　パソコン上で分析しデザイン・作製する被せ物にしか基本的には対応できない

などが挙げられます。つまり万能ではなく症例や治療法を選ぶ必要があります。例えば保険診療の銀歯は技工士が模型上で熟練の技術を用いて手作業で精密に作製しています。金属冠ですので鋳造という行程を経て完成するわけです。口腔内スキャナーが得意とする分野は主にインプラントおよび天然歯のセラミックの被せ物のデザイン・作製となります。これらの被せ物はセラミックのブロックからデザインデータ通りに削り出すことで作製が可能だからです。

技術の進歩で今後も口腔内スキャナーの適応症例が増えてくるかとは思いますが、現時点では口腔内スキャナーと従来の型採りをバランスよく使い分けていく予定です。どちらも歯科診療に欠かすことのできない大事な技術だからです。双方の利点を活かし、より良い歯科治療を提供できるように努力します。

 

むらかみ歯科医院　院長